18番地の蟹さん

蟹が見たサッカーの感想をはじめとした諸々の雑記。たまにアニメとアクション映画。個人的なメモとして。

YSCC vs 福島ユナイテッドFC

めっちゃ今更ながら記事書きました。

2017年3月11日、J3リーグ開幕戦を福島ユナイテッドYSCCとアウェイニッパツ三ツ沢で対戦。この試合はJ3リーグ2017シーズンのオープニングゲームとなりました。僕もホーム開幕戦が待ちきれずに横浜まで行き現地観戦しました。

福島にとっては3.11という重い意味のある日であるためか、監督や選手達の士気は非常に高く、福島県に良いニュースをもたらそうという想いが溢れていました。福島のクラブだからこそ、福島も元気なんだぞというメッセージを発信し、県民に勝利の吉報を届けたい一戦。

 

フォーメーションは表記上2-6-2みたいな事になってるけど実際は4-2-3-1ベース。CBは右が岡田亮太、左が茂木。SBは右が平秀斗、左が鴨ちゃんボランチは前ちゃんと川上が組み、サイドハーフは右がタムショー、左が広太。トップ下拓門で1トップアレックスが基本形でした。

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結果は福島が0-2で勝利!

タムショーが早速期待に応えるJ3リーグオープニングゴール。そして福島の看板選手広太も昨年7月以来のゴール。全体的に希望に満ちた船出でした。スタッツとか詳細はこちら。一応今年からJ3にもJリーグ公式のテキスト速報が付いたらしい

 

監督が替わるとチームも変化するもんで。福島も率直に言って球際の激しさ、パスをつなぐための距離感とかが格段に良くなった印象。フォーメーションも前述したように4-2-3-1を基本にしつつ、前ちゃんが流動的に動いて川上がアンカーになる4-1-4-1になったり、川上がバックラインまで下がって拓門も1列降りる5-4-1になったりと簡易的な可変システムを採用。シンプルに相手SBの裏を狙ったりSBとCBの間に人数をねじ込んで局面の数的有利を確保するなど田坂監督のやりたいことをそこそこやれてた印象。ラストパスが合わなかったり微妙に前線がノッキング気味ではあったけど、昨シーズンのようなサポートが少ないといったような場面はほとんど無し。ポジションチェンジも効果的に発動してて、先制点の場面なんてはタムショーが逆サイドのスペースまでダイナミックに突っ込んできたからこそ生まれたシーンなんじゃないでしょうか。守備面は全員が身体をぶつけて複数人で挟んだりしてボールを奪いに行くから前への推進力も生まれやすくなってるのかなと。とりあえず今回は奪いに行って剥がされたり奪いきれなくて数的不利になる様な場面がなかったので今後どうなるかはまだ分からないけど、去年のリトリート中心の守備より危なげなかったかと思います。

1度だけ前ちゃんが相手のゴールキックを競らないで後ろに任せて、そのまま相手にボックスまで持ち込まれたシーンの後で監督も守備陣も任せないで競りにいけと激しく要求したりしてたあたり、個々が身体を当てて自由を与えない、ボールを奪いきると言うことはチームとして強く求めてる印象。その他2点取った後に全体がゲームを落ち着かせようとしてか消極的なプレーが増え始めた時には田坂監督が「前に行け!前に行けよ!」と強く要求していたのも印象的。昨シーズンは先制してもそのままイケイケになるよりゲームを落ち着かせようとしたり1点を守り切ろうと全体の重心が後ろに偏り、そのまま相手のペースに持ち込まれたりしてたのでこの指示は非常に良かったのではないかなと思います。まあ攻めてばっかでも疲れるからどこかでスローダウンは必要だと思うけど。

 

選手個々としてもタムショーの鋭い動き出しと川上の正確な裏へのミドルパスとか、そこそこ粘れるアレックスとかよく効いてたかと。拓門が前線からプレスに行って高い位置からゲームに変化を付けるのも新鮮だったり。茂木CBも鋭い出足があるしフィジカルもあるから地上戦は上々の働きだったし岡田も危なげなくプレー。平秀斗のSBも力強く泥臭く食らいついていく守備と相手をブロックしつつ高速でオーバーラップしたり思ってたよりマッチしてるのではないかなと。

まあその中でも別格だったのが大卒ルーキーの川上竜。ボランチの一角というよりはアンカー気味のプレーだったのですが、まず中長距離のパスが正確無比だし常に首を振って周囲を確認してパスを出してるからそうそう変なパスをしない。今回のプレー内容はノーミスだったのではないでしょうか。ゲームを構築し攻撃の起点となるプレーもさることながら際立ったのは守備。相手や味方の位置、空いたスペース、自分がカバーできる範囲を正確に把握した適確なポジショニングで相手にバイタルエリアで自由にプレーするスペースを与えず、ボールホルダーに対して素早いアプローチングを行い絡みつくようなディフェンスで攻撃を食い止めていました。今のスペースを捨てて最も危険なスペースを埋めに行くプレーや、味方のサポートが常に出来る位置取りなどの判断が恐ろしく早く、YSCCに全く自由を与えませんでした。スペースのマネジメントについては突出した能力を持っていると言えます。それでいてキックも正確で1本のパスでチャンスを作り出せ、プレースキックだって高精度。初陣で見せたパフォーマンスはまさに攻守の要、福島の心臓とも言えるものでした。ルーキーなのに強気にチームを引っ張る姿勢も見られ、チームを鼓舞し、DFにラインを挙げろと要求する場面すらあるほど。こんな素晴らしい選手が3月まで所属チームが決まらないなんて・・・明らかにJ3のレベルを超えた選手。田坂監督がまだまだ伸びると言ってるし、このままなら今年の末にはステップアップするんじゃないでしょうか。

 

一応パッと目に付いて気になった問題は川上の能力が高すぎて中盤の底から川上が抜けると途端にチームが苦しくなりそうな所とCFがアレックスしかいないところ。あと平均身長。特にCFはアレックスだけだと厳しいのが開幕戦から露呈しちゃったのがなんとも。そもそもアレックスってスタミナがある方とは言えないんだけど、今回も終盤は明らかにバテバテだったし最終的に足をつって交代になっちゃったわけで。ポストがもっと収まってくれた方が助かるんだけど、サイズがあってポストとキープが出来るFWはアレックスしかいないのが現状。樋口が戻ってきても根本的に出来ることが違うFWなので解決にはならないんで、ここをどうしたもんかなあと。常に競り合ってポストして前線からプレスかけ続けるからトップの消耗は激しいと思うの。田坂監督がいい解決策を見出すことに期待。まああと昨シーズンから平均身長がガクッと低くなったからセットプレーは攻守に不安があるかも。練習見てても思ったけど本当に小さい選手増えた。

 

じゃあ最後に気になった選手について。

タムショー・・・鋭い動き出しからの思い切りの良いシュートが光る。守備も格段に良くなってるしアタッカーとしても以前福島にいたときより一皮剥けた。シュート技術をさらに磨き、エースとして活躍して欲しい。

 

川上・・・上手いという以上にプレーヤーとして賢く、判断が早い。今以上のパフォーマンスを見せれば間違いなくステップアップする。

 

平秀斗・・・右SBとして泥臭く食らいつくような守備を見せ、倒れてもすぐに立ち上がって相手に食い下がるなどかなりファイトする姿勢は見えた。隙あらばロングシュートでゴールを狙ったり、どんどんと加速するスプリントでの攻撃参加も迫力があった。

 

 

何はともあれ非常にポジティブな内容の今シーズンが楽しみになる一戦でした。次はJ3新参のアスルクラロ沼津J3の厳しさを教えてやりましょう。くれぐれも嬉しい初勝利をプレゼントなんてならないようにお願いします。

小山内とか渡辺匠は怪我っぽいけど、三橋、橋本、堀田たちのルーキー含め、出場できるようさらに切磋琢磨してください。はやく新加入選手達の活躍みたいぞ。

 

さて今年からDAZNあるんだし加入しないとなあ・・・