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18番地の蟹さん

蟹が見たサッカーの感想をはじめとした諸々の雑記。たまにアニメとアクション映画。個人的なメモとして。

栗原圭介監督契約満了。3年間を振り返ってみる件。

福島ユナイテッド

記事書くのに時間かかりすぎて今更なんですが・・・

11月8日、クラブより栗原監督との契約を更新しないことが発表されました。トピックスはこちら

 

まあ今シーズンの成績からして仕方ないと思うし、開幕前に「2位以内を目標にしたい」と言っていた中で現在13位ですからね。3年間監督を続けてまさに勝負の年だったわけなんですがなんとも残念な結果になってしまいました。

とはいえ福島のJ3リーグ入りからここまでチームを率いてきたのは栗原監督ですし、トップチーム指導経験がない中で決して恵まれた環境とは言えない福島ユナイテッドの監督を引き受けてくれたことには大いに感謝しています。

 

そんなわけで栗原監督とクラブの3年間を振り返ってみようかと思います。長いから目次付けてみた。

 

2014シーズン

まず先に言わせてもらうとこのシーズンのことは結構前の事なんで僕自身うろ覚えです。

JFLからJ3オリジナル12に滑り込むことに成功した福島。しかし当時の監督である時崎悠Jリーグの監督に必要とされるS級指導ライセンスを保持していないのでチームの指揮をとるこができないため退任。そこで招聘されたのが栗原圭介。一応湘南ベルマーレに所属していた事もあるので湘南側からの仲介があったのかもしれません。トップチームどころかユース指導経験もないということから若干の不安はあったものの、ポゼッションという福島スタイルを作り上げるべくスタートしました。

開幕戦はアウェイで前年度JFL王者の長野戦でしたがまあ順当に敗戦。色々あってこの試合は東京で行われたし、J3の歴史的開幕戦ということで僕も東京まで観戦に行ったんですけど、まあ酷かった。典型的な「パスを回すことを目的としたサッカー」を展開してひたすらバックパスの嵐でまともに攻撃にならず。なんか最前線にもドラか石堂が陣取るとか言う実質ゼロトップみたいなフォーメーションで本当に攻撃にならなかった。流石にこれではいかんとその後は普通にCFを置くようになったけどその後も勝てずに開幕から6戦未勝利。ここで栗原監督伝家の宝刀『勝てないときはGKを替えてみる』が発動。見事に初勝利をもぎ取ります。

その後も負けが先行しながらも攻撃は段々と形になり始め、パスワークも幾分スムーズにはなったものの追い越していく動きとかスペースを作る動きとかはあんまり見られなかったり。そんなに失点はしないけど何より点が取れなくて勝ちきれない、逆転勝利も1回のみと、勝負弱さが目立った印象。最終的に33試合9勝9分15敗30得点38失点で12チーム中7位という成績になりました。

なーんて言っても正直このシーズンは監督、フロント、サポーター含めて「つなぐサッカーの土台を作るシーズン」と位置づけていたし、JFLからJ3移行組では最下位の成績だっただけにそんなにネガティブになるほどのものでもありませんでした。

栗原監督はこのシーズン4-3-3をメインに3-4-3とかのフォーメーションを採用。ボランチが本職の石堂をウイングで主力として起用したり、鴨志田、村岡らにトップ下という新境地を開かせるなどコンバートで選手を活かしたり、若手を大胆にスタメン起用するなど育成の手腕を随所に披露。ただしこの頃から既に、試合内容に関わらず70分付近まで選手交代をしない癖は出てまして。選手交代の遅さはちょっと気になるところでした。

 

2015シーズン

土台作りを経て戦力もアップした栗原政権2年目。開幕戦こそ自滅したものの、「先制されても追いつく」「ビハインドを跳ね返して逆転する」といった試合が増えて着実に成長しました。ロングボールによる攻撃が多かったとはいえスピードのある前線の選手がしっかりと高い位置に起点を作ってくれたし、自分からドリブルで仕掛ける選手が多く相手を押し込めるようになったり。特に大卒ルーキーの齋藤恵太、星広太、星雄次が何度も素晴らしい連携とスピードでチームに勝利をもたらしました。最終的に左サイドの星ツインズの縦関係からの突破と怪物じみた速さの恵太のアタックの破壊力自体は上位陣にも匹敵するものがありました。とはいっても星ツインズの双子故の華麗な連携は本当にこの2人でしか再現性がなかったから栗原監督の指示じゃないのかも。それに、つなぐサッカーから最終的にとにかく齋藤恵太のスピード任せの突破に頼り切りになってしまったのは結果からすると16シーズンの監督自身の首を絞めることに繋がったのかなあ・・・このシーズンは首位をひた走ってた山口を撃沈したり、今まで一度も勝利のなかった相模原から勝利をもぎ取るなど結構ポジティブなシーズンでした。結果は36試合13勝10分13敗42得点48失点で13チーム中7位。

一応このシーズンは連動したパスワークがそれなりに良くなったし、遅攻傾向だった攻めも恵太の飛び出しをはじめとして改善。前線が連動してプレスをかけて高い位置でボールを奪う守備も形になり始めたりして土台作りからちゃんとステップを踏んで内容が向上していました。しかし相変わらず、ボールをつなごうとするスタイルからハイプレスショートカウンター型の相手にはめっぽう弱く、パスミスからの失点が多いという弱点は改善されず。またアンダー世代の選抜チームなどのテクニックに優れた選手には簡単にはがされる守備陣のアジリティの不足も目につきました。夏場には大量失点での連敗を繰り返したりしました。良い形で攻めてもフィニッシュ精度を欠き、そのまま流れを失う、一度流れを失うと取り戻せない、そういう試合運びの強かさが足りなかった気はします。

このシーズンは4-3-3を最初は使用していたものの、相手に合わせた3-5-2などを交えつつ最終的に4-4-2フォーメーションに落ち着きました。栗原監督はこのシーズンもルーキーの恵太、広太、雄次を手早く主力に育て上げ、適性を見て安東をCBに、拓門を右サイドハーフにコンバートして起用するなど育成にはやはり手腕を発揮。特にサイドが主戦場の高速ドリブラーだった恵太にポストプレーを仕込んでCFとして開花させたのは素晴らしかった。

 

2016シーズン

主力を何人か引き抜かれたものの大半の選手を維持し栗原政権3年目へ。開幕は15シーズン終盤を連勝と無敗で駆け抜けた秋田相手に終了間際に同点ゴールを決めてまあ悪くない滑り出し。その後も元J2富山に引き分けたり、苦手相模原に負けたりしつつ、降格してきた栃木に勝利。このあたりまではまあこんなもんかなくらいの悪くない入りかと思ったものの、6節藤枝戦で誤審によって勝ち点を落とすとその後も1試合置きくらいに誤審とか怪しい判定で勝ち点をポロポロ落としていき波に乗れず。

誤審はあったにしてもどういうわけか今シーズンはパスワークを捨ててCFめがけてロングボールをボコボコと蹴り込んだりDFラインからの放り込みで一発裏抜け狙ったりと稚拙な攻めが目につきました。結果として支配率が低くなり疲弊したチームはプレスがかからなくなり失点。また、前線からのプレスが立ち上がりは有効にはまるものの、相手が慣れてきた前半30分あたりからプレスがかいくぐられるようになるとボランチ以下守備陣がリトリートして自陣ボックスに釘付けになり波状攻撃を許す展開が繰り返されました。ここでバイタルにプレスに行けなくなってミドルを食らう、不用意にゴール周辺でファールをおかしセットプレーを与える、クロスやセットプレーのクリアが不十分になり混戦から決められる、といった失点を毎試合のように繰り返します。このあたりがいつまで経っても改善されずに勝ち点を落とし続けました。

攻撃も「どこからでも得点が取れる攻撃」を志向した結果、誰が点を取るのかが決まらないまま攻めこむためシステマチックな攻撃にはなりませんでした。また、安易なロングボールでの攻撃が通用せず、結果的に遅攻が多くなり相手にブロックを組まれ、そのブロックを打ち崩す術を持たない。率直に言えば樋口がいかにして点を取るかという形を作ればもう少し成績は上向いたんじゃないかと思うんですが、まあ引き抜かれたまた初めからやり直しだしね。

結果は残せなかったものの最終的に上位ともそこそこに渡り合ったり決定機も作れるようにはなりました。しかしその作ったチャンスを決めきるところまではいけなかった。それは選手の質的問題でもあるし栗原監督の今の力の限界だったんだと思います。現在2試合を残して28試合7勝9分12敗35得点40失点16チーム中13位。

フォーメーションは4-3-3メイン。4-3-3とはいってもウイングは守備に降りてきてあまり高めのポジションは取らず、トップ下はCFと共に高い位置からプレスをかけたり裏抜けを狙うので実質的に4-4-2といえる形でした。今年もCBの高聖を攻撃力を見込んでSBで使ったり、梅井をパワープレー要員を経てCFとして起用するなどコンバートで選手を活かし、蓮沼や前田やアレックスといった若手を主力のレベルまで引き上げました。やはり育成の手腕は確かなものがあるかと。

 

総評

率直に言って栗原監督は勝負師としては1流とはいえません。ここ一番で勝負に出る、勝ちに徹する、ということが出来ない監督だった思います。逆境を跳ね返す強靱なメンタルを選手に植え付けることは出来なかったし、「何となく押し込めてるんでけど点が取れない」と言う状況で思い切って選手を替えられないし、それは守勢に回っているときも同じでした。守備で山積していた課題は3年間でも大して解決出来てないし、特に守備陣の指導は今ひとつでCBやボランチがリトリート中心の戦術でボールを奪う事より崩されない事を気にするあまりかえってミドルやセットプレーのチャンスを与えることとなりました。この課題を修正できず同じパターンでの失点を繰り返したのが致命的だった。戦術の引き出しも策士と言うほど有るわけではないし、齋藤恵太の突破しかり、梅井パワープレーしかりと苦しくなると単調なオプションに頼り切りになって余計に勝ちが遠のくこともしばしば。選手起用も「チャンスを与える」という方針の下エースを控えに回したり、スタメンをコロコロ変えたりして戦術の浸透がままならなかったりしたことは反省点ではあると思います。

しかし前線から連動したプレスでショートカウンターに持ち込んだり、サイドに起点を作りつつクロスで相手を仕留める戦術は一定の成功を果たしました。ドリブラーの打開力を中心とした攻撃も、テクニックやフィジカルを駆使したキープを中心とした攻撃もどちらでもそれなりの攻撃の形を作れたことは選手のタイプによらずチームを作れることの証明でしょう。

選手起用についてはCFに大型の選手を置いてロングボールからのポストプレーを中心として攻撃を展開することを好み、尚且つ広いプレーエリアを求める傾向が。本来ポストをあまり得意としない選手でも、サイズがあればポストプレーは必ず仕込みました。また、当たりの強さやキックの精度が高めな選手はボランチの選手などでもサイドハーフ、ウイングとして攻撃の起点として用いる傾向が見られました。CBはビルドアップ能力を求めるため、守備力に多少不安があっても主力として起用することも。またキック精度の高い選手はCBの選手でもSB起用することも。サイドにキックの精度の高い選手を置くことを好むようです。フォーメーションは基本的に4-3-3や4-4-2を用いました。

栗原監督の最大の評価点は選手の育成能力だと思います。ルーキーからベテランまで、年齢に関係なく練習から良いアピールが出来ればスタメンで起用したり、リード、ビハインドの状況問わず交代選手として起用しチャンスを与えて戦力の底上げを目指しました。試合に出られない選手(特に若手)には今何が足りていないのかしっかり伝えて成長を促しましたし、適性を見て様々なポジションにコンバートして活躍させるなど、選手の能力を引き出す、育成すると言った点については十分な力量を持っていました。

 

最後に

僕は今シーズンの栗原監督のこと割とボロクソに言ってきたんだけど(特に28節盛岡戦後は流石にもう耐えられんかった)、3年もチームを率いてくれた人といざお別れとなると意外としんみりしてしまいました・・・ただ福島ユナイテッドがまず成績面で結果を残すことで新スタジアム建設のムーブメントを起こそうとしている中で監督のスタイルとのミスマッチが発生してしまったのは本当に残念だと思います。ユース監督とかすごく良さそうなのだが。

栗原監督、Wikipediaなんかだと「人格者」と言われてるんだけどもそれは本当のなんですよ。いつもサポーターには丁寧に挨拶するし、基本的な受け答えの物腰は穏やかだし礼儀正しい。そして常に選手想いの監督でした。どんなミスによって勝ち点を落としても“選手達はよくやってくれた。結果は私の責任。”と決して選手を責めることはありませんでしたし、選手との対話を通して着実に成長させました。退任についてのコメントでも本来“クラブのますますの発展を願います。”なんてはテンプレートみたいなものなんですが、栗原監督は“選手たちの成長とクラブの発展を心より願います。”って言ってるんですよね。つくづく育成に手腕を発揮した栗原監督らしい選手想いなコメントだと思います。

 

あと2試合、連勝で締めくくり栗原監督とは笑顔でお別れしたいものです。栗原監督にはこの3年間福島を率いてもらったことに感謝しかありません。本当にありがとうございました。

これからも栗原圭介の指導者としてのキャリアに幸多からんことを!